理想を現実に近づける力がほしい

 “「世界子どもの平和像5周年記念式典&06高校生平和活動スタート集会”へ取材してきた。
 世界子どもの平和像とは、5年前「核兵器なくそう」と平和を求める東京の高校生平和ゼミナール(以下、平ゼミ)のメンバー達が2年がかりで1000万ものカンパを集め建設したもの。

 5年前、この“像”を建てるために中心的に活動していたAさんは現在は2児の母。
 「あの頃は、自分たちが頑張れば平和な世の中が来る、世界が変わるって思っていた」と話す。しかし、卒業して家庭に仕事に追われる日々を過ごす中で、彼女の中に「平ゼミや平和の活動と現実はギャップがある」と思うようになった。「卒業以来、平和像を見に来た事はない」。今日来たのは「本音を言えば、たまたま日程が合ったから。でも、平ゼミ時代の友だちから“来てよ”って誘ってくれて嬉しかった」と彼女。
 「平和とか、憲法を守るって、どこか堅苦しいし近寄りがたいものっていうイメージだったけど、今日来て見てやっぱり平和の大事さわかった」といっていた彼女だが、実は平ゼミとは全く関係のない友だちを連れてきていた。「職場とか友だちとかで、平和の話とかしにくかったけど、誘ってみたら“いいよ”って」。
 僕が「また来ますか?」と聞くと、「時間が合えば」ってちょっと笑いながら言っていた。

 2代目の実行委員長だったBさんは現在弁護士を目指している。
 「弁護士になろうと思ったきっかけは平ゼミでの活動。平ゼミで色んなことが知れたし、目標が見つけることできた」「確かに、大学に入って、平和の事を話したら距離をおかれた友だちもいたけれど、大事だって思うことを話し続けたらきっとわかってくれると思って頑張った」と話す。

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 一見、対照的に見える2人だけど、共通項は「あの時の気持ちを忘れていない」ってことだと思う。
 誰もが思う「平和の気持ち」を表現できない現実に腹が立つけれど、でもその現実とたたかっていかなければと思った。