ようやくわかったヤっさんのお説教

「作品は背負うもの」−これは二〇年前、専門学生時代に講師ヤっさんからもらった言葉。子どものころや学生時代に大人に教えられたことは、体にしみこん(しみついて)でしまうもの。昨夜、十二年前に撮影・編集したある劇団の公演DVDを何気なく観直して、この言葉を思い出したのだ。
十二年前、映像に関わることに限界を感じていたこと。仕事は気軽な撮影バイト程度。自主制作作品なんてできないと、他人の作品に協力スタッフ的に入るのがやっとの状態だったことを思い出した。その原因の一端がこのDVD制作だ。
撮影時、若く、社会的に超未熟児だった僕。いろいろな方面に迷惑をかけてしまったばかりか、撮影的にも、編集的にも、制作的にも「お粗末」で、頼んでいただいた劇団員さん(地元の先輩)から「これからがんばればいいよ」と慰められる始末だった(クライアントから慰められるなんて今考えるだけでゾッとする)。これ以降、ちゃんと編集したというのは五年前の友人のライヴだった。それくらい、とにかくダメダメだったのだ。
その、ダメダメっぷりは映像・編集に如実にでている。劇団の稽古にはりついて撮影していたにもかかわらず、舞台進行をまったく意識していないカットが目立つ。何でこの場面でこの役者に寄るのか。逆に寄らないのか、何でこの場面で全景を撮らないのか。メイキングでは云々…。もう挙げたらキリがない。笑うしかない。笑った。
でも、もうDVDとして、作品として残ってしまっている。僕の脳内や記憶は自分勝手にすり替えることはできても、出回ってしまっているDVDはすり替えることはできない。作品というのはそういうものなんだろうなと考えていたときに、冒頭の言葉に戻る。作品は背負うもの。過去を背負いながらつくりつづけることでしか活路は見いだせない。
ヤっさん! 二〇年経ってようやくわかったよ。