DOGLEGGS


半端じゃない生きざまだから笑えてくるし、泣けてくる。人と人が本気でぶつかり合うってこういうことだと教えてくれる。
ドッグレッグスは「障害者プロレス団体」を標榜しているけれど、リング上でおこなわれているのは初期のバーリトゥードUWFに近い。オープンフィンガーグローブとレガースをつけてとにかく目の前の相手を殴って、蹴って、投げて、関節をひんまげ、首を絞める。おどろきは健常者対障害者。清々しいくらいに健常者が障害者をボコボコにする。でも、それは暴力ではなくて、信頼関係の上に成り立っている歴然とした試合。所謂、勝ち負けの演出はほどこされていないけれどプロレスなのだ。
映画に出てくる「選手」たちには、自身の障害をのりこえて云々といった「きれいなストーリー」は用意されていない。酒を呑むし、エロ本も読む。秘宝館に障害者割引で入ったり。好きな女性に愛の告白をしてフラれたり。ドッグレッグスは日常上手くいかないことだらけの「選手」たちの自己表現の場でもある。だから、目の前の選手を殴り蹴る。それを受け止める「相手」がいるかぎり。