絹の道合唱団「この星の上で」

 組曲「砂川」。全楽章演奏を初めて生鑑賞。砂川闘争のことを描いた曲、ということで、古くさい歌なのかという先入観があったが、覆された。砂川の地に広がる自然、人々の息づかいをあたたかく描いた歌詞と、ダイナミックな演奏に身を乗り出して聴いた。各楽章「風に」「土に」「人に」「火に」というテーマ、脳裏に映像が浮かんでくるようだった。
 二期会オペラの演出も手がける劇作家・演出家加藤直氏作の「この星の上で」。
 「来るかもしれない」未来世界を台詞と合唱、動きで描く。星新一作品のような語り口。何でも溢れていて退屈している人々が、星を一つずつ壊すというゲームが流行り……という入り口はいいのだけど、なかなか難しく重いテーマ。私のような脳みそが柔軟ではない人間には、物語を味わう時間が少し足りないなと感じた。

 三月十七日 東京・八王子いちょうホール・大ホール