宮沢明子ピアノリサイタル

 実は僕、ピアノリサイタル初体験。
 なので、少し緊張気味に、「寝てしまわないか」など不安な面持ちでいったものの、一曲目「ガルッピ ソナタ第5番ハ長調」の爽やかな音色にひきこまれてからというもの、あっという間の二時間。
 この日、第二部は“シューマンショパン「生誕200年記念」”。どれもが一度は聴いたことのある曲を緩急織り交ぜながら披露。特に、三曲目「シューマン ウィーンの謝肉祭の道化」でのリズミカルな演奏、拍手もひときわ大きかった。演奏後に「汗かいた〜」と、顔をあおぐ仕草で笑いを誘っていたが、僕も手に汗にぎって聞き入った。
 宮沢さんは、子どものようにピアノにむかう人だなと思った。それは、ときに楽しく、ときに難しそう(失礼)に弾く姿からそう思うのだ。また、途中のMCでも「これ難しいのよ」と言うなど、観客と一緒に音楽会をつくりあげようとする姿勢はもちろん、一緒にピアノを弾いてるようで好感が持てた。
 途中、宮沢さんは「日本には素晴らしい調律師がたくさんいる」と話していた。確かにそうかも知れないと思うと同時に、その調律師はじめスタッフや演奏者、会場などを支える公的なシステムは“素晴らしい”とは言えない。あらためて文化政策についても考えさせられる機会ともなり、演奏ともども、貴重な時間を過ごすことができた。