「子どもと生きる」2020年1・2月号掲載

小山台高校定時制存続運動をはじめて四年。はじめた当初はこんなに「長期戦」になるとは思っていなかった。というよりも、自分がここまでのめりこむとは思っていなかった。はじめは「あんなに大切な場所を…」云々といった感情論で動いていた。が、運動に関わるなかで、定時制課程という日本型のゆるやかなカリキュラムは、diversityをめざす日本になくてはならないものであること。外国籍を持つ人はじめ「外国につながる」人たちにとっての大事な場所であるということも肌身で感じてきた。そんな思いを、東京の民主教育をすすめる教育研究会議冊子「子どもと生きる」で話させていただいた。同冊子編集部に許可をいただき、転載します。
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「定時制高校のいま」

東京都教育委員会が昨年二月に策定し、推進する都立高校改革推進計画は、都立小山台・雪谷・江北・立川4校夜間定時制廃校とチャレンジスクール増設・増学級、商業高校の専門校化が主な内容となっている。
この「計画」が現状にあったものなのか。定時制高校の現状を知り、語り合う学習会が一〇月一五日、都内で開かれる。

定時制高校のいま――全都連絡会学習会
日時:10月15日(日)
   開会13時30分/閉会16時30分
会場:渋谷区笹塚区民会館
資料:500円
主催:都立高校のいまを考える全都連絡会

#都立 #夜間定時制 #小山台高校 #雪谷高校 #江北高校 #立川高校 #商業高校 #チャレンジスクール #東京都教育委員会 #都立高校改革推進計画

クリーピー偽りの隣人

人間、相性が大事だと思う。それが良いときは良い方に物事が運ぶけれど、悪いと悪い方にしかいかない。集団創造においても、その相性が鍵。


映画『クリーピー 偽りの隣人』TVスポット(LiLiCoナレーションVer.)

このところの黒沢清監督作品、監督と香川照之の相性は本当に良いと感じる。本作品も、香川のサイコぶりがいかんなく発揮されている。中車襲名で磨きがかかったともいえるか。

そして、藤野涼子! 後の豊子(朝ドラ『ひよっこ』)の演技も、また、黒沢演出「日常に潜む狂喜」を引き立てる。
ラストはあっけない。けれど、観ているものに適度な「ストレス」を蓄積させ、溜めるだけ溜めて一気に放出する「黒沢節」は健在。

お隣に気をつけようと思える作品です。

原動力は「小さな我儘」――食事日記

ここ二カ月、食事日記にハマっている。

イチタメシと名付けているその作業は、毎晩一日の終わりに食べたものをスプレッドシートに書き込む。毎食、一品ずつのカロリー、ご飯やパンはグラムを記帳する。漏れなく、ダブりなく(by HRインステュート)記帳する。きょうは何を食べ、何を摂りすぎ、何が足りなかったのかと一日を振り返る。そして、明日は何を食べようかと考え、妄想し、楽しむ。

食や自分の身体を見つめ直す時間というより、一日を総括する時間と言ったほうがいい。

入院中、看護師さんや療法士さんに言われてやっていたことなんて、退院したら続かないんだろうなと思っていた(し、周りからもそう思われてたと推察していた)のだけど、きょうで二カ月目。頭を打つと人が変わるというけれど、僕の場合は「変わった」のでなく、以前にも増して「臆病になった」のだ。

だからといって、特段、節制しているわけでもない。ベジファーストだの、ローカーボだの、グルテンフリーだのとヘルシー思考になってもいない。というか、ならない。

退院のときに、綺麗な管理栄養士さんに言われた範囲(一日の摂取カロリー、毎食の炭水化物のグラム)をまもっているだけ。

「しなきゃいけない」とか、「するべき」では続かなかったし、楽しめていない。

根っこにあるのは、明日をより快適に過ごしたいという「しごく普通の要求」と、かわいい女子にエエカッコしたいという「中2的チェリー思考」。そんな、「小さな我儘」をこれからも、持ち続けていこうと銭湯の脱衣室でおもいふける……。

コールド・ウォー 香港警察堕ちた正義

「コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義」

レオン・カーフェイとチョウ・ユンファ共演に惹かれ、レンタタル。

冒頭から物語が動きはじめ、これといった説明的なシーンもないので、てっきりラストにかけて一つ一つわかっていくのだろうと観ていたのだけど、どうもおかしい。レシートとジャケット観てみるとタイトルに「Ⅱ」の文字。「Ⅰ」があるんだ!

……とはいえ、同時進行的にシーンが重なり合う構成など見せ方もよく、演技も良し。ザッツ香港アクションを堪能。

はやく、「Ⅰ」をかりにいかなければ。

 

さとにきたらええやん

大人も子どもも生きることの「つらさ」「きびしさ」「楽しさ」は一緒。様々な境遇をもつ登場人物から、現実との向き合い方を教えてくれる作品。
もう少し定点観測的なシーン、フィックスカットがあっても良いかなと感じた。けれど、そうした「手の問題」にいかないことが、終始撮り手の目線になって、「さと」に集まる人をみることができる。きびしく、つらいなかでも、笑い、楽しむ人間の強さを感じる良作。

現場が一番!――今年「初歩き」のその後

昨日予告のとおり、きょうは、立川、調布、狛江の平和行進に同行。雨が断続的に降るなかだったけれど、曇天が功を奏したのか暑さはたいして感じなかった。もちろん、高まり、まとわりつくような湿気には勝てず、歩き出し一分でナイアガラ級に汗が出てくる出てくる。
砂川学習館前を出発した立川行進は、地域をぐるっとまわり立川駅近くの立川相互病院前まで同行。天候、日時などもあいまって活気あふれる行進とは言えなかったものの、新たな出会いもあった。後日詳しく書こうとは思うけれど、印象深いのを一つ二つ。
東京-広島コースの途中、静岡県内行進にフル参加した女性の話。背中に「核なき世界をめざして 畑田重夫」と、達筆で書かれたTシャツを着ている彼女。静岡県行進には「ひょんなことから」十三日間歩くことに。
県内行進初日の出発式に九四歳の国際政治学者、畑田さんが行進団を激励するために来たとき、思い切って声をかけたらこころよく書いてもらったのだという。「人生でも、平和活動でも大先輩に背中をぐいぐい押されているようで、十三日間楽しく歩けた。帰ってきて二ヵ月後に『核兵器禁止条約、国連で採択』の報道があって、これは絶対にTシャツを着て立川での行進に参加しようと決めたんです」。
もう一人は、八七歳の男性との話。反核平和活動には七〇年近くとりくんでいるという大ベテラン。反核活動の原点は一九五〇年の「ストックホルム・アピール」署名だった。世界五億人近区集まったこの署名運動。五〇年当時、彼は、なんと僕の地元品川区に住んでいて、職場の仲間のすすめからこの活動に参加したという。「小学校の運動会の会場前とか、商店街一軒一軒まわった。それが原点で、ずーっと歩き続けてるんです」。
調布、狛江の行進でもいくつかエピソードがあるけれど、それはまた後日。
名前も年齢も知らなかったお二人のエピソードを聞いて、やっぱり、現場が一番なんだなとあらためて思った。というお話。