ハート・ロッカー


 アカデミー賞歴代作品賞をふりかえるシリーズ三回目。イラク戦争開戦から十一年のこの日に選んだのはこれ。十一年前のこの日、ぼくは病院のベッドにいてブラウン管のなかにうつしだされた「センソウ」をただ眺めていた。もちろん米軍の大義なき武力行使、戦争には反対だし、自衛隊を派遣させることにも反対だったから、そういう視点・立場でながめていたし、何もできない自分にいらだちもした。でもそれ以上に、ブラウン管のなかで、何が起きているのかピンときていなかったのも事実。戦争で苦しみ悲しむのはいつも武器なきものたち。そういった市民の苦悩・悲劇を描けなかったのは残念だった。