あしたが消える

 二二年前(チェルノブイリ事故の三年後)、東電島原子力発電所を追ったドキュメンタリー。骨癌で死んだ福島原発作業員とその家族からのメッセージ。ちょうど九月二日までの上映だ。よし、観に行こう! あれ? 上映時間、朝十時半から? あぁ、夏休み観れば良かった! と後悔しててもしょうがない。どこかで再上映をしてもらうことを願うばかり。
 ちなみに、構成演出の千葉茂樹氏は日本映画学校のセンセイ。1年のとき「映画史」だったかの授業で数回くらいお目にかかったくらい。

あしたが消える―どうして原発?― デジタルリマスター版
  1989年/日本/55分/カラー/デジタル/4:3
  配給=マジックアワー+シネマディスト

福島第一原発を追った、幻のドキュメンタリー映画フィルムが発見!

どうして、日本は、22年前のこの時に、
原発問題”を解決しておかなかったのだろうか――。

いまからちょうど22年前の1989年に作成された、福島第一原発を追った、たった55分の小さなドキュメンタリー映画。当時は、ソ連チェルノブイリ原発事故が起こって3年後で、全世界が原発事故に恐怖を抱いていた。
福島第一原発の定期検査など指導的な立場で働いていた52歳の父を骨癌で失った仙台市の主婦が投稿した新聞記事をきっかけに、本作は原発への疑問を胸に綿密な調査を進めていく。日本の原発で働く被曝労働者たちの切なる証言や、被曝の危険性を明らかにしようと奮闘する医師、実際に福島第一原発4号機の設計に携わった現在サイエンスライターとして活躍中の田中三彦氏の証言などが次々と映し出される。映画の最後のナレーションでは、「福島原発」で大事故が起こった時に、日本全土がチェルノブイリと同じように危険地帯に一変すること、と明言しており、現在の状況を予言しているかのようだ。
これまで、TV放映や大掛かりな劇場公開は実現することはなく、そのフィルムは長い期間保管されたままの状態となっていた。未曾有の大震災から4カ月たった今もなお続く原発問題を抱える我々日本の“現在(いま)”と世界の“未来(あした)”が映し出されている本作を、ぜひこの機会にご覧いただきたい。

製作:平形則安、溝上潔、里中哲夫
構成演出:千葉茂樹、中嶋裕、田淵英夫、金高堅謙二
撮影:藤田久美、斉藤正弘
編集:渡辺行夫
音楽:山崎宏
ナレーター:津嘉山正種

提供:原発を考える映画人の会
配給:マジックアワー+シネマディスト

【入場料金】
一般1200円/大学・専門学校生・会員・シニア1000円/高校生800円/中学生以下500円
劇場:ユーロスペース
期間:2011/08/06-2011/09/02
上映時間:10:30→11:30