生きていてよかった

Staff
 監督 亀井文夫/撮影 黒田清巳、瀬川浩/音楽 長沢勝俊
 出演 山田美津子(解説)
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 1955年、原爆投下から10年を迎えた広島・長崎で第1回原水爆禁止世界大会が開かれた、亀井文夫はその支援運動の一つとして、その前後の期間、広島と長崎で被爆者たちを取材し、ドキュメンタリー映画をつくった。一部原爆投下直後のフィルムも織り交ぜられ、原爆投下10年後の現実を余すことなく伝える。勅使河原宏も助監督として参加。その年の平和文化賞、ブルーリボン賞を受賞した。


「死ぬことは苦しい」「でも、生きることも苦しい」と語りかけるこの作品は亀井文夫の最高傑作といっても過言ではないばかりか、戦後のドキュメンタリー映画にも衝撃をあたえるものだ。
「私はドキュメンタリー映画をつくることで運動に参加する」と言う亀井は日本共産党員。戦中は治安維持法で捕まったこともある。一部マスコミや評論家からは偏向作品だとかプロパガンダだとか言われながらも、ブルーリボン賞をとってしまうあたりかなりの強者だとおもう。彼の残した構成術は後に森達也などに受け継がれている。