現実とギミックの狭間

 mixiの「プロレス迷言集」というコミュニティを覗くと、「ブックについて語る事の是非」というトピックスが立っている。ブックとは「プロレスの台本」のこと。こういうコーナーの議論というのは、大概、「○○はヤオ、○○はガチ」とか「○○のあのシーンは壮大なブックだな」という、知ったかぶり的なものに終始しがち。ボクはそれを見る度に不快な思いをする(してきた)。
 しかし、そのトピックスでは大半が「ブックでもギミックでもプロレスラーの肉体は本物だし、繰り出される技と耐える相手の姿は本物」という意見が交わされていた。ボクは少し救われた気持ちになった。

 「ブック」のそれ自体(存在)を語ることは個人的には嫌いだけど、「プロレスって何だろう」と考え、議論することは大事なことである。

 腎臓ガンと闘い復帰した小橋建太は「プロレスって何だろう? わからないからやってるんだ」と語った。
 佐々木健介は「プロレスっていいですね。人生をかけられる」と語った。

 プロレス、それは疑似格闘でもスポーツエンターテイメントでもない。それは、「人生をかけた人間たちが紡ぐドラマ」なんである。