鎹


S#1 とある部屋
   薄暗い部屋。電気はつけておらず、TVの明かりだけ。
   しかし、キチンと整理されている。どうやらキッチンダイニングだ。
   その部屋に子どもが一人。その子の名は山崎優、歳は10歳。
   TVの明かりがチカチカと、優の顔に眩しく映る。
   けれど、つまらなそうな表情の優。
   TVの中では流行りのお笑いタレント達が、流行りのネタ番組ではしゃいでいる。
   優の背中越しにカレンダーが見える。
   2月×日のところに赤いマジックで大きなマルが書かれている。
   相変わらず、つまらなそうな優。
   相変わらず、TVのなかではしゃぐお笑いタレント。
   オチの言葉やギャグがテロップに大きく映し出される。
   そのたびに舌打ちをする優。
優 「なんだよそれ」
   と、ひとりごち、時計を見遣る。
   リモコンを取り、TVの電源を消す優。


S#2 メインタイトル
   黒味から白い文字が浮かび上がる。
   「鎹」